人員不足・予算管理のリアル。給食業界の店長が向き合う「見えない負担」

導入

記事⑧では、早番・遅番それぞれの1日のスケジュールと、店長が担っている業務についてお話ししました。今回は、その中でもあまり表には出てこない「予算とシフト管理の難しさ」「人員不足への対応」について、もう少し踏み込んでお話しします。

管理職としての大変さは、調理そのものよりも、こうした「見えない部分」に多くあると感じています。

予算(目標勤務時間)とシフト作成のジレンマ

給食業界では、会社にもよりますが、店舗ごとに予算(目標となる勤務時間数)が割り当てられています。

例えば、「1日の勤務時間シフト目標:8時間×4人=32時間」というように、店舗全体で使える時間の枠が決められている場合があります。このとき悩ましいのが、ベテランスタッフの8時間も、新人スタッフの8時間も、同じ「8時間」として計算されてしまうケースがあることです。

当然ですが、同じ8時間でも、個人の経験や能力によって作業効率はまったく違います。ベテランが1時間で終わらせる仕込みに、新人は2時間かかることもあります。予算上は同じ「1人×8時間」でも、現場での一人当たりの負担は決して平等ではないのです。

チームワークとコミュニケーションも、立派な業務

新人を育てながら店舗を回していくためには、どうしてもベテランスタッフに一定の負担がかかります。この負担を「仕方ないこと」として放置せず、日々のコミュニケーションでフォローしていくことも、店長にとって大切な役割です。

  • 新人がどこでつまずいているかを把握する
  • ベテランスタッフの負担が偏りすぎていないか気を配る
  • 「ありがとう」「助かった」を言葉にして伝える

こうした地道なコミュニケーションの積み重ねが、チーム全体の作業効率にも、スタッフの定着にも直結すると感じています。

人員不足のときは、残業で店舗を守ることもある

どれだけシフトを工夫しても、突然の体調不良などで、応援に来られるはずだったスタッフが来られなくなることがあります。そうしたときは、残業をしてでも店舗の運営を止めないようにするのが現実です。

以前の記事で「責任者になると休日でも連絡が来ることがある」とお話ししましたが、この人員不足への対応も、店長ならではの負担の一つです。安定していると言われる給食業界でも、こうした急な対応が発生する場面は、正直あります。

すべてを一人で抱え込む必要はない

ここまで店長業務について色々とお話ししてきましたが、大切なことをひとつ付け加えます。これらの業務を、すべて自分一人でこなす必要はありません。

現場には栄養士や調理師など、専門知識を持ったスタッフがいます。献立の細かな調整や、一部の管理業務を他のスタッフにお願いすることで、自分の負担を軽くすることも可能です。

ただし、業務を任せる場合でも、「管理」そのものを手放してはいけません。任せた業務に問題が起きたとき、すぐに気づいて対応できる体制を整えておくことが重要です。「任せること」と「丸投げすること」は違う、というのが、この5年間で学んだことの一つです。

結び

予算とシフトのジレンマ、人員不足時の残業、そして業務を任せることの大切さについてお話ししました。管理職としての大変さは、調理の技術とはまた別の種類のスキルが求められる部分だと感じています。

これまでの記事の内容をまとめたロードマップは記事⑤にまとめていますので、あわせて読んでみてください。

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